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2015年4月 9日 (木)

餘部橋梁物語 僕らの町に汽車がやって来た 第25話

みなさまこんにちは、本日もしばしお付き合いくださいませ。
ちょっと鉄道のの話題から外れている・・・かもしれませんけどね、気楽にお読みくださいませ。

>  「そうなんだ、財布が見当たらないんだ、女将すまないがつけといてくれないか」
> 猫尾は、酔いも一変にさめてしまって赤い顔が今では青白い顔になっています。
> 気の毒なほど狼狽している猫尾に女将は、
> 「いつでもいいから、今日はゆっくり休んでね。」
>
> 女性らしい優しい心遣いに感謝しながら、猫尾は家路に向けて自転車を押しながら帰っていくのでした。
> まさか、親方の会社に財布を忘れたとは夢にも思わずに・・・・
>
財布がない、がっくりと肩を落として猫尾は帰っていくのでした、

「ああ、女将に嫌われちゃっただろうな、どこに財布を忘れたんだろう。」

探しながら歩いて帰ろうと思ったのですが、外はもう漆黒の闇。
現在のように、街灯などもほとんど無く、時折ぽつんと裸電球が蛍の火のように浮かぶだけでした。

「仕方がねぇ、明日朝にでも探してみよう。」

ぶつぶつと独り言を言いながら猫尾は誰一人待で無い家に帰っていくのでした。
テレビも無く、ラジオも十分普及していない時代、帰ってすることといえば寝ることぐらいです、ご多分に漏れず猫尾も、帰ってから何をするでもないわけです。
猫尾は、少し酔いの残る体を自転車を押しながら帰っていくのでした。

さて、こちらは先ほどの女将のお店。
店の中は、6人ほどの客が思い思いに女将を相手に酒を飲んでいます。
このお店はお世辞にも広いとはいえず、6人でもほぼ満員御礼状態になってしまうのでした。
話題といえば、子供の話、嫁さんの話、さては更に発展して下の話まで・・・。
話題に尽きることはありませんが、猫尾が女将にほのかに恋心を抱いていることを知っている猫尾の幼馴染が、言いました。

「おい、さっき猫がきていたけど、俺たちが来たらそそくさと帰っちゃったな。きっと、猫が女将を好いてると言われるのが嫌で逃げたのかな。」

それを聞くと女将は、少し頬を染めながら、

 「馬鹿言ってるんじゃないよ、私はなんとも思っていないんだから。」

即座に打ち消そうとするのですが、これが返って逆効果だったようでした。盛んにみんなが囃し立てるので、困った女将は、

 「そういえば、猫尾さんが、餘部の集落に駅が出来るんだと言ってた、だから人を集めるんだって。」

「それは本間の話かいな、猫尾がかってにでっち上げた話じゃないんかいな。」

 「ううん、そうじゃないみたいよ。」

「確かに、猫尾が冗談でそんなこと言う男ではないよな。」

猫尾を良く知る幼馴染も頷くのでした。
そうなると、今度は俄然、餘部に駅がいつ出来るんだろうとか、駅が出来たら浜坂の町に出るのが楽になるとか、さては、おっかあを連れて城崎温泉に行くのだとか、みんな好きかってに喋り始めるのでした。

先ほどまでの猥雑な言葉とは違い、みんな楽しそです。

女将も猫尾と一緒に温泉に行ける日を想像して一人頬を赤らめるのですが幸いなことに店のお客さんには気づかれることはありませんでした。
 だって、皆さんすでにかなり出来上がっていましたから。

こうして、餘部の集落に駅が出来ると言う話は、地元に口伝えに広がっていくのでした。

財布を忘れてしょげて帰った猫尾はどうしたかって?

明日のことは明日考えると言ってさっさと寝てしまいましたよ。
女将とねんごろの中になるのを夢見て。

それでは、この続きはまた後ほど。Dd54_a_aboshiya
画像提供 網干屋様

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