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2015年6月 3日 (水)

鉄道公安官物語 第4話

> 「そうか、それじゃ拳銃のことを少しだけ話しておこうか。」

>
> そういって、黒木は拳銃の話を始めるのでした。

白根は、まだ拳銃を触ったことがありませんでしたので、黒木の話は興味津々でした。

「まず、拳銃なんだけど、これが結構重いのよ。特に腰につけるとその重さを実感できるぜ。」

「おれも、警察学校の頃は拳銃が撃てるとはしゃいだものだけど、最近は拳銃を持たない警備の方が楽に感じることがあるよ。」

 「それで、拳銃って撃った感じはどうなんだい。」
白根は、話が聞きたくてついつい黒木をせかすのでした。

「まあ待てよ、そんなに急かさなくても大丈夫だから。」

黒木が軽くたしなめながら、また続きを話し始めるのでした。

「まず、拳銃の訓練なんだけど、撃つだけではないんだ、最初に清掃の方法を覚えるんだ。」

「拳銃を分解して、銃身とかレンコンと呼ばれる弾倉を清掃するんだ。これが結構邪魔くさくてな、それにその際も、銃身を覗き込むようなことをしてはいけないんだ。」

 「面倒くさいことするんだなぁ、もっと簡単に撃つだけと思っていたのに。」

黒木は、どちらかと言えば軽薄に見える男ですが、拳銃の話をするときの彼の顔は間違いなく警察官のそれでした。
白根は、ふと彼の真剣に話す姿を見て、こいつも警察官なんだなぁ。

思わず、自身の考え方が甘かったことを反省するのでした。

「そうさ、面倒くさいさ。でもそれをしないといざと言うときに撃てないだろう。それに、拳銃は人を殺傷することだってできるものだから法律で禁止されてる。」

「だからこそ、正しい拳銃の使い方、安全に使う方法を徹底的に教え込まれるのさ。」

そんな話ばかりだとつまらないだろうと察したのでしょう、黒木はわざと拳銃が中々当たらない話を始めるのでした。

「拳銃って、実は中々当たらないんだよね。」
「俺は、幸いよく当たっていたほうだけど、中々当たらないやつが多くてさ、ボーっとしてる奴の方が拳銃はよく当たるなんて負け惜しみを言われたものさ。」
「だって、自分の的に当てずに隣の奴の的に当てたりするんだから。」

黒木は一気に話すのでした。
そんな話を、それこそ、その話を聞きたかったとばかりに興味津々で聞く白根。まるで子供がヒーローものに見入るようなそんな雰囲気でした。

 「拳銃ってそんなに当たらないものなの?」

白根は、質問してみました。

「そうだな、1m四方の板の中心20cmが黒く塗られていてそこに全部当てると黒点賞といって賞を貰えるのだが中々当たらなくてな。」

 「それだけ大きい板だったら当たらない方がおかしいんじゃないの。」
 「それとも、よっぽど当たらないのか?」

「1m四方の板を約20m離れたところから撃つんだぜ、1m四方の板だって小さく見えるがな。まして、20cm四方なんて・・・」

 「そんな小さいところに当てるのかい。」

「そうだよ、俺の先輩で無茶射撃のうまい人がいて黒点賞を貰っていたけどな。」

黒木の話は延々と続きそうでした、白根は自分が拳銃のことを興味だけで考えていたことを恥ずかしく思うとともに、幼馴染が警察官としての自覚を持っていることに、少しあせりを感じたのでした。

俺も公安官として旅客の安全を守っていけるのだろうか。まして、基本的には公安官は拳銃を携帯しないと聞いてるけど、・・・そうだ、これだけ聞いてみよう。
白根は、黒木に聞くのでした。

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 「なぁ、拳銃って言うのは犯人が襲ってきたりしたら撃っていいんだろう。」

「それは、法律上はそうなってるけど実際に撃ったら大変だよ、始末書の山になるから、だから飾りみたいなものさ。【現在は、法制度が変わっていますが、当時は拳銃の使用はかなり厳しく制限されていました。】だから、最初に言ったろう、拳銃無いほうがどれだけ楽かって。」

白根は、今日黒木に自慢してやろうと思って会ったのに、逆に黒木に教えられることばかりだったのと、黒木が警察官としての使命感に燃えていることに改めて驚かされたのでした。

そうだ、俺は国鉄マンだ、そして公安職員としてお客様の安全と、輸送の安全のために尽くすことが俺の使命なんだ。

お客様の安全を守るのが公安官ならば、市民の安心を守るのが警察官の役目なのだから。

そう改めて思うのでした。

まだまだ、研修は続きますが明日からの研修が少しだけ楽しみに感じている心の声を聞いているような気がしました。

「今日は、ありがとうな。また、会おうや。」

黒木が白根に声をかけました。

 「ああ、またな。今度は公安官になってから会ってやるよ。」

気のおけない二人だけに、言葉はぶっきらぼうですがそこには深い信頼と、「頑張れよ、お互いにな。」

そんなメッセージが含まれていたのです。

明日は、少しだけ寄り道をして番外編(黒木原男、拳銃訓練奮闘記とさせていただきます。)その後は、公安官の仕事についてお話をしていきたいと思います。

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