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2015年8月11日 (火)

鉄道公安官物語 番外編第7話

> そうして1時間も経った頃、下宿屋のおばさんが、二人でデートでもしてきたら・・・。
> そう言いかけたのですが、あいにく白根は夕方から仕事もあったので、その日はデートはしないで帰ることになりました。
> 白根と博美の二人の様子を見ていたので、下宿屋のおばちゃんは今度はなんとしても二人の結婚を急がせようとするのですが・・・。

今回の見合いで一番びっくりしたのは、実は白根でした。
鉄道の職場というのは今でこそ、女性も働ける職場という雰囲気ですが、当時は男だけの職場・・・特に運転系などは区長から事務方まで全員男性ですから。汗臭いことはあっても間違っても爽やかな雰囲気とは全く有りませんでしたし、まして社内で良い人を見つけるのは至難の業でした。

そんなわけで、女性とほとんど付き合ったこともない白根ののほうが熱を上げてしまうのでした。
幸い、白根は博美から別れ際に電話番号を聞いていましたので、今度の休みにでも電話してみようと密かに思っていたのですが・・・。

現在のように携帯電話など夢の様な話であり、電話をかけて最初に誰が出てくるのか・・・。
白根の場合は、お見合いということですからハードルは低かったのですが、そうでない場合だと、女性の家に電話して、お父さんが出てきたら最悪

「娘はいません」とか、酷い時になると「誰か知らんが、電話しないでくれ」なんてこっぴどく叱られたりして・・・それはそれで大変でした。

間違っても、女性の方からかけるなんてことは端ないという風潮がありました、そんな時代でしたからね。

そんな訳で、白根としては、何としても交際したいと思う反面、今までまともに女性と付き合ったこともなかったので何を言って良いのかわからず。

それでも、やはり電話したいという気持ちがぶつかり合うのでした。
しかし、そこでも問題は有りました。

まず、当時は下宿の部屋に個々に電話なんて言うのは夢のまた夢で、管理人室前に置かれた黒電話もしくは、赤電話が唯一の電話機でした。

下宿屋のおばちゃんのところも、数年前までは黒電話でその都度お金もらっていたのですが。面倒くさいのもあって今は赤電話を電々公社につけてもらってそこから直接かけてもらうようになっていました。
ですから、管理人のおばちゃんがいない時はあまり気にすることなく電話できるのですが、おばちゃんが部屋でテレビなどを見ているときは、おせっかいなおばさんがそれとなく耳を澄ませているのが分かるんですね。

初めての電話でそれでなくてもドキドキしているのに、白根はあるだけに勇気を振り絞って電話のダイヤルを回すのでした。

ジー・コロコロ、ジー・コロコロコロ、交換器に向けて番号を呼び出しているのが聞こえます。
しばらくすると、プルルル、プルルル・・・。
相手を呼び出す声が聞こえます、しばらくして呼び出し音が消えて受話器の向こうから声が聞こえます。

 「もしもし、津田ですが・・。もしもし、・・・」

白根は、そこで言葉が出ません。
喋ってみたいのですが、何を言っていいのか。そして電話の主が誰なのか。
声が似ていましたから、博美のようにも思いつつ、そうでないようにも聞こえます。

「もしもし、どなたですか・・・。」

さらに、声が聞こえますが、白根は声すら出せません。
そのうち、いたずら電話と思ったのか電話は一方的に切れました。
白根は、話したいと思う反面、今度は全く喋れない自分が情けなくなりました。
仕事だったら普通に喋れるのに・・・・。

白根は諦めて、自室に戻ろうとした時、不意に管理人室の窓が開いて、管理人のおばさんが話しかけるのでした。

「白根さん、さっきの電話お見合いの相手の博美さんに電話していたのかい・・・」
なんて聞かれたんです。

白根は頬を紅潮させるので、誰が見ても図星だと判るのですが、恥ずかしいものですから。

 「そ、そ、そんな、そんなこ、ことありませんよ。い、田舎の友達に電話したんですよ。」と否定するのですが、顔を見れば一目瞭然。

管理人さんは、そうだったのかい。
すまなかったねぇ・・・と言いつつ、白根が戻ってから、呟くのでした。
「白根さん、あの娘さんにぞっこんのようだね。明日でも、先方に電話してみようかしら。」

そして、無言の電話を受けたのは・・・実は博美だったのです。
博美は、白根がかけてくれたのだろうと直感で感じたのですが、まさか自分から電話するのも端ないことかしらと思っていたのです。

そして、博美はその後思い切った行動に出るのですが、そのへんの話はまた後ほどさせてさせていただきます。Img_2741

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