« Let the journey in 1970 Part5 | トップページ | Let the journey in 1970 Part7 »

2015年11月14日 (土)

Let the journey in 1970 Part6

> おかしいなぁ、どこに行ったのだろうか。
> そう思いながら、長い廊下を自室の寝台がある1号車に向かって歩き始めたのでした。

車掌室のドアを開けて、展望室に出てみると、まだまだ空は暗く紺色のカーテンを横たえていましたが、少しづつ朝に近づいているのでしょう、夜のよどんだ空気とは明らかに違う清々しい風が吹いているようです。

猫次郎は、小さな窓から少し風を入れてみようと思いました。
風は、頬には冷たく感じましたが、肌を刺すような冷たい風ではなく、眠気を覚まさせるような爽やかなそれでいて懐かしい匂いがするように感じました。

「こんな気持ちになるのは初めてだ・・・」

猫次郎は呟きながら、ひとまず寝台車に帰って寝ることにしよう。
そう思って、最後尾の客室へと足をすすめて行きました。

この寝台はB寝台車といって、寝台の幅は52cmしかありません。
そのうえ、3段も有りますから寝たら最後起き上がっても頭がつかえて充分なスペースは確保できません。

今じゃ考えられないよな・・・そんな独り言を呟きながら、2両目に入ったとき2両目の中央付近で廊下から中段に寝る乗客に声をかける父親の姿が目に止まりました。

「お客さま、お客さま、まもなく岡山に到着です。」
「お客さま・・・」

 「うーん・・・、やっと眠りにつけたのに誰だ。」

乗客は、少し不機嫌そうな声で、呟きます。

 「なんだ、車掌か、俺に何のようなんだ。人がせっかく寝かけたのに。」

「申し訳ございません、後30分で岡山に到着です。お支度をお始めください。」

 「なんだって、まだいいじゃないか。俺は眠いんだよ。」

「しかし、お客さま、お客様は岡山でお降りではないのですか?」

 「そうだが、もう少し寝かせておいてくれ」

「いえ、もし乗り過ごされても致し方ないですね。」

 「それは、困る。」

と言った押し問答があったのか定かではないが、乗客は中段からひょいと飛び降りようとするのだが、寝ぼけていることもあり中々足元がおぼつかない。
 床に足がついた瞬間バランスを崩して父親である、専務車掌に衝突。
しかし、車掌はにっころ微笑んで、

「お客さま、大丈夫ですか?」

自分のことよりもまずお客様への気遣いを忘れないその姿に、自分に足りていないものを気づかされたのでした。

 家では、横柄だったり、ゴロゴロばかりしていると思ったけど車掌の仕事も大変気を使う仕事なんだな。まだまだ僕には修行が足りないや。

猫次郎は一人呟くのでした。

先ほどの寝ぼけた乗客は、すっかり恐縮してしまい何度か頭を下げた後服装を整え、小走りに洗面所に走っていった。

父は、猫次郎の姿を認めると、軽く会釈して車掌室に戻っていくのであった。
その後姿には、仕事に対する自身と誇りが見て取れるのでした。

猫次郎は、急がずそれでいてまだ夜もあけやらぬ車内を出来るだけ静かに静かに、1号車までの約300mの道のりを急ぐのでした。

食堂車では、コックさんが椅子を集めて簡易ベッドとして仮眠をしています。
ウエイトレスは、日本食堂が指定した寝台車に寝ているそうですが、男子従業員は全員食堂車の簡易ベッドらしく、起こさないように静かに歩いて行くのでした。

やがて、列車は減速し駅に到着しました。
早朝とはいえ、何人かの乗客は駅のホームに降りていきました。

午前4時35分、東の空は白み始め、新しい朝が来たことを告げてくれます。
列車は岡山を定刻に発車、この後福山、広島と停車して終着博多には昼前の11:20に到着する予定です。

結局、寝台の個室を取ったけど殆ど寝れないのかな・・・一人苦笑しながらドアを開けベッドに横になりました。

疲れと、少し懐かしい気持ちになれたことから、猫次郎は一気に夢の世界に入っていくのでした。

電気機関車の汽笛を聞きながら・・・・

さて、いよいよ明日は最終回です。

« Let the journey in 1970 Part5 | トップページ | Let the journey in 1970 Part7 »

鉄道」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/2086385/62512473

この記事へのトラックバック一覧です: Let the journey in 1970 Part6:

« Let the journey in 1970 Part5 | トップページ | Let the journey in 1970 Part7 »

フォト
無料ブログはココログ
2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

Facebook 国鉄があった時代