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2015年11月20日 (金)

公開 Let the journey in 1970 Part8

それでは、最終列車にどぞご乗車ください。

> 「お客さん、お客さん・・・」
> 猫次郎に呼びかける声がします。
> その時猫次郎は、大変驚いてしまいました。
> そんな、馬鹿な・・・

猫次郎は目を疑いました。

声をかけてくれた車掌は、少し歳はいっていますが確かに自分自身でした。
これはどうしたことなのでしょうか。

猫次郎は、叫ばずにはいられませんでした。

「どうして、僕がそこにいるんだ?」

未来の猫次郎は慌てるでもなく、むしろ冷静に、僕はもう一人の君さ、そうもう一つの世界のネ。

「この世界には、時間という概念はないから、みんな自由に過去の自分や未来の自分に会うことができるのさ。 」

「あり得ないって?」

「それは、君が住む世界の常識に生きているからじゃないのかい。」

「時代が変われば常識も変わるように、世界が変われば常識だって変わるのさ。」

猫次郎には何がなんだかさっぱりわかりません。

「すまないがもう少し詳しく話してくれないかい。」

猫次郎はもう一人の猫次郎に話かけました。

「僕は、もう一つの世界の君なんだ、人生にはたくさんの選択肢があるよね、そのうちの一つに父親の仕事と同じ仕事につくという選択肢も有ったよね。しかし、当時の君は父親に反発して、国鉄に入らなかった。
 むしろ、公務員以外の仕事がしたいと言ったよね。」

「ああ、そうだった。若気の至りとでも言うのだろうか、親の決めたレールの上を進むのは嫌だった。だから違う道を選んだんだ。」

「その結果はどうだったんだい」

「疲れた、そして何もかもが嫌になってしまったんだ。」

「そうだろうね、でも僕は父親のいうことを聞いて国鉄に就職した、現在は車掌長として頑張っている、今年の異動では、車掌区の助役として管理職の道を歩むことにしたんだ。
本当は、ずっと現場で仕事したいんだけどね。」

「そうか、僕の人生は間違っていたのか・・・」

「何を言っているんだ、人生なんて何度でもリセットが出来るじゃないか。」

「何を言ってるんだい、人生は一度きりじゃないか。」

「いや、違う。人生は時々乗換駅に立ち寄るのさ、そこに気づくか気づかないかの差なんだ。」

「そんなものだろうか?」

「そうさ、後を向いて歩いていたらぶつかるだろう、それだったら前を向いて歩こうよ。前を向いて歩いていたら少なくとも障害物にぶつかったりする確率は減るよね。」

「確かにそうだ」

「だからこそ、今の仕事に前向きに歩いたらいいんじゃないのかい。」

「わかった、未来の君が言うとおりだよ。」

「そうかい、解ってくれて嬉しいよ。」

未来の猫次郎は、それでは最後に終着駅の案内放送をしてくるからと言って、猫次郎の個室を辞するのでした。

しばらくすると、天井から未来の猫次郎の声が聞こえてきました。

「長らくのご乗車ありがとうございました。終着駅博多、博多に到着です。皆様お忘れ物なきようお降り下さい。またのご乗車を心よりお待ちもうしあげております。
終着駅、博多、博多でございます。
鹿児島本線、長崎本線、筑豊線の各線へはお乗換でございます。」

未来の猫次郎が語りかける言葉は、まるで猫次郎自身に対するエールのように聞こえました。

仕事を誠心誠意打ち込めば、きっと光が見えて来るんだと、そう言い聞かせる猫次郎だったのです。

列車は、既に博多駅構内に入りまさにその歩みを止めました。
東京を18:50に出発してから過ごした約17時間の旅はここの終りを告げました。
猫次郎は、一夜の宿であった個室をでて狭い廊下を歩きます、さあ、ホームに降りようとした瞬間まぶしい光が・・・・

「もう大丈夫ですよ、あなたのカウンセリング終りましたよ。」

そうなんです、猫次郎はカウンセリングを受けていたのです、そう、これは猫次郎が見た夢のお話なんです。

でも、本当に夢だったんでしょうか?だって、猫次郎の背広のポケットには、昭和45年6月10日 あさかぜ1号個室2番と書かれた寝台券と、東京~博多の乗車券が、カバンには昭和45年6月11日と書かれた新聞が入っていましたよ。

    ・・・・fin.

みなさま、本当にありがとうございました。

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