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2015年12月22日 (火)

駅員・松井寅次郎奮戦記 4 【正樹君に翻弄されるの巻】

正木君に翻弄される巻き最終回になります。

ごそごそと押入れに中を探す寅次郎、今度は新聞の切抜きを持ってきたようです。
茶色く変色したスクラップブック、大きく「昭和39」と書かれています。

これも、叔父さんからもらった資料でね、大事に保管してあるんだ。

そういって、話し始めるのですが。

さっき、「特急富士」が不幸な事故にあってねと言ったよね。
じつは、さっき話した一番豪華な車両がこともあろうかトラックと衝突したんだよ。

当時は無謀なトラックが多くてね、踏切が閉まりかけても無理やり通過なんてことがよくあったんだ。

新聞記事によるとね。

寅次郎は新聞記事のスクラップを読み始めます。
昭和39年4月24日東海道本線草薙 ~静岡(当時)間を運転中の下り「第1富士」が踏切を横断中のダンプカーと衝突。この事故で大阪方先頭車のクロ151-7が脱線大破」

寅次郎は淡々と読み上げるのですが、本当は凄く辛いなぁと言う思いがあるだけに余計に淡々と話すのでした。

正木君もじっと聞き入っています、しばらくして正木君が質問します。

 「それで、その事故にあった車両はどうなったの?」

「この先頭車両は、結局廃車になたらしいんだよ、製造してわずか4年ほどでスクラップさ。」

 「エー、勿体無いなぁ。」

「そうなんだけどね、新たに作り直すにしてもお金がいるしね、結局国鉄としては改造車で賄うことにしたんだ。それも、廃車になった車両とは似ても似つかぬ車両が誕生してね。」

 またまた、好奇心が頭をもたげた正木君、寅次郎に質問攻めです。

 「どんな車両だったのですか?」

寅次郎も気を取り直して話し始めます。

「サンダーバードは先頭車がグリーン車でしょ。ちょうどあんな感じでグリーン車に運転台を取り付けた車両が誕生したんだ。」

「そこで、被害にあった事故にあった車両のうち比較的軽度な被害だった車両を使って復旧させたんだよ。」

「でも、その復旧が終わるまでが大変でね、一部の列車が運休になったりしたんだ。」

こうなると、正木君は聞く側に回るばかりです。
いよいよ、寅次郎が一方的に話します。

「まず最初に、「特急ひびき」と呼ばれる列車が運休したんだ。」

「さらに、特急ときの先頭車が富士の先頭車として使われることになったんだよ。」

 ということは、「特急ひびき」と「特急とき」が運休したの?

「そうなんだけど、「特急とき」も重要な列車なのでいつまでも運休させるわけには行かないので、実は「ひびき」で使っていた電車と言うのは「特急とき」と性能的にはほぼ同じだったので、157系と呼ばれる「ひびき」の電車が161系と呼ばれた「特急とき」の編成に組み込まれるというなんともチグハグな編成が誕生することになるんだ。」
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特急ひびきに使われた157系は運休の上、「とき」に充当 画像 wikipedia

157系と161系の併結改造緊急工事では、床面の高さが問題となりました。
157系と161系では床高さが異なったため渡り板の調整や、貫通幌も異なっていたためその辺の改造工事があわせて行わねばならなかったと言われています。
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現在は交通博物館で保存されている、161系【181系40番台】
画像 wikipedia

 「ふーん、なんか大変だったんですね。」

「そうなんだよ、半年後に東海道新幹線が開業することが決まっていただけにその準備や山陽本線で使えるように181系化改造といってモーターの出力増などの工事が平行して行われたので、現場は大変だったと思うよ。」

これが僕の知っている全てかな・・・と言いかけて、正木君が質問します。

 「かえだま」って何ですか?

「「かえだま」?ラーメンの替玉のこと?」
800px

寅次郎冗談とも本気とも取れる回答をします。

 「おじさん違うよ、かえだま、こだまであったんでしょ。」
 「ネットで調べたら、かえだまって書いていたから・・。」

寅次郎は苦笑しながら、そうだよ。
「かえだま」と言うのが有ってね、実は「特急こだま」などに使われた151系電車は全て田町電車区に配置されていたので、大阪に向かう途中、事故などで列車が遅れたりすると大阪側では153系電車と言われる急行用電車を代走で走らせたのさ。さすがに、評判はよくなかったので100円引きだったそうだよ。」

 「100円?」
 正木君が素っ頓狂な声で叫びます。

「ごめんごめん、100円と言っても当時の100円だからね1000円程度の値打ちはあったんだよ。」

 「なんだ、100円ってえらいけち臭いなぁと思ったよ。」

「当時は簡単に運休は認められなくてね、何としても列車だけは走らせろということで、そんな運転が行われたんだ。だから、「かえだま」が何回も走ってね、特に富士の事故では翌日から連休明けの5月6日まで「こだま」号の一往復が153系と呼ばれる電車で走ることになったんだって。」

 「ふーん。知らないことばかりだけど凄い時代だったんですね。」
 「また、教えてくださいね。」

最初のころの生意気な少年は、鉄道ファンの寅次郎の話にすっかり感心してしまったようです。
寅次郎もにっこり笑いながら、

「また色々と聞いてくださいね。」

そういって、自分の子供よりも年下の友達に話しかけるのでした。

鉄道の趣味と言うのは色々な意味で年代を超えたお付き合いができるものです。
今回は、図らずも寅次郎と正木君の掛け合いでお話が進みました。

次回は、本格的に寅次郎の駅での奮戦記を書かせていただこうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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