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2016年11月29日 (火)

機関助士 佐倉一郎の思い出話 第6話

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> 班長が声を掛けます、慌てて上記の圧力計をのぞき込む佐倉君。
> 「班長12kg/です」
> やっと、長かったカマ掃除も終わり、空はすっかり朱くなり、冬の夕暮れが近いことを示していました。

すみません、Windoows10にしてからエディタが時々動かなくなってしまうというトラブルがありまして、今回も御多分に漏れず動かなくなってしまいまして、ほぼ全部出来上がっていたのに一から書き直しです。
思い切って7か8に戻そうかと思案中です。
困ったものです。

本来であればそろそろ、機関助士のお話をさせていただかないといけないのですが、ここまで来てもなお、庫内手のお話ばかりで飽きたと言われそうですが、もう少しだけお待ちくださいませ。
教派も佐倉君の庫内手時代のお話です。

庫内手の仕事は、カマ掃除だけではありませんでした。
そこれ以外にも、機関車の車軸にグリースを塗る仕事もあります。
動輪などに使うグリースは油壷に入れるようになっておりある程度の量をまとめて押し込むので楽なのですが、それ以外にも小さな油壷にもさらさらした潤滑油を補充していくのも大事なご仕事でした。
最初国鉄に入った頃は、明けても暮れても機関車のロッドやナンバープレートばかり掃除していた佐倉君ですが、最近はそうした仕事も任せられるようになっていたのです。
ひとつずつ丁寧に油壷を開けては油の残量を確認していきます。
特にグリースは少なかったたちまち問題となるため特に慎重になります。
他にも機関車によっては、軸箱守式と呼ばれる、車軸を油壷に浸した方式を採用しており、木綿の布で車軸に巻き付けて滑らかに車輪が回せるようになっていたのですが、油が切れてしまうと十分な潤滑が得られず最後は焼き付いてしまいます。
これを保守点検の職員は最大限の恥と思っていますので、特に慎重を要することとなります。
1

先輩職員の綾瀬さんが覗きに来ます。
 「佐倉、メタ焼け(メタル焼け)だけは気を付けろよ、俺たちの恥だからなぁ。」
この道25年のベテランの綾瀬さんが声を掛けます。
綾瀬は機関士志望だったのですが、動体視力が弱かったため運転士にはなれなかったのです、後輩がどんどん機関士になっていくのを見て忸怩たる思いを持っていたのですが、最近はそれよりも、機関車を完全に整備していくことに生きがいを見つけたようで積極的に独自の治具を作っては後輩に使わせて使い勝手などを聞いてさらに改良すると言ったことに熱心なようです。
そんな綾瀬ですので、佐倉君の仕事が気になって仕方がないようです。
「佐倉、軸箱開けた時に木綿の撚り芯が乱雑になっていないかよく見ておけ。」
「メタ焼けを起こすのは、大概撚り芯がいい加減に巻き付けられている場合が多いんだ。逆に、綺麗に巻いてある撚り芯は殆どメタ焼け起こしていないからな。」
「もし、汚い撚り芯が有ったら俺に言ってこい。やり方教えてやるからな」
一気に綾瀬は言うと、くるりと身を翻して歩き始めるのでした。
 「ありがとうございます。」
帽子を取って深々と頭を下げる佐倉君
ちらっと、後ろを振り返った綾瀬は、すぐに向き直ると佐倉君の顔を見ないで、
「おお、頑張れよ・・・・。」
そう言って大股に歩いていくのでした。
綾瀬は佐倉君のこと嫌いなのでしょうか・・・、いえいえ、むしろ佐倉君を年の離れた友達とさえ思っているのです。
ただ、人づきあいが苦手なのでこうしてついついぶっきらぼうにかつ、相手の顔を見ないでと言う行動に出てしまうのでした。
佐倉君も、ちょっと寂しそうです。
「先輩は僕のこと嫌いなんだろうか・・・」

そして、黙々と軸箱を開けてみたのです。
そこに展開してあるのはとてもきれいに車軸に巻かれた撚り線でした、もちろん綾瀬が仕上げたものですからとてもきれいです。
佐倉君は少しばかり油受けに油を補充して再び軸箱を閉じるのでした。

仕事が終わり、雑談中に佐倉君が班長に聞いてみます。
「班長、綾瀬さんってとても近づきがたい人なんですけど・・・。」
  「うん、綾瀬のことか?」
「そうです、今日話しかけてくれたんですけど、僕のこと嫌いなのかプイと振り向いて行ってしまったんです。」

苦笑しながら班長が佐倉君に言います。
  「佐倉、綾瀬はなぁ人づきあいが苦手なんだ。根は良い奴なんだけど口下手でなぁ。」
  「お前から積極的に話してやればそのうち喋り出すだろうよ。」
佐倉君は、そうだったのかと思いつつ。日頃思っている疑問などを聞いてみることにしたのでした。
「班長、ありがとうございます。」

班長は今度はお道化て
  「頼むぜ、佐倉助役」
笑ながら、肩を叩くお茶目な班長でした。

続く

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