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2017年4月 4日 (火)

機関助士 佐倉一郎の思い出話 第15話

> 「大田助士も苦笑しながら、気を付けてくださいね、危ないですよ。」
> 僅かな時間でしたが、早速乗務員の洗礼を受けてしまった佐倉君ですが、これからさらにあらゆることを経験していくのですが・・・今日はこの辺にしておきましょう。
申し訳ありません。
3月11日以来の投稿になります。
これだけ空いてしまうと自分でもどうかこうかと戸惑ってしまいます。
さて今回もお話を始めさせていただきます。
駅では、多くの乗客が我先にと争って乗ろうとします。
昔は本当に座席を取るのも一苦労と言った時代でしたから、行儀の悪い人になると窓が開いているとそこから先に荷物だけ放り込んで座り込みを狙う人もいたりしたものです。
やがて、2等車の車内は始発駅でほぼ満員になってしまいました。
駅では発車ベルがかなり大きな音でホームに響きます。
当時は列車発車1分前にベルが鳴らされるたのです。
それでも、当時の汽車と言うのはのんびりしたもので。
駅弁を求めて窓から声を掛ける乗客も多数います。
「弁当屋、弁当くれ・・・」そう叫ぶ乗客
小走りに弁当を肩から下げた入れ物に積み上げた売り子が小走りに近づきますが、汽車はそんな売り子の意図など関係なく、ベルが鳴りやむと汽笛一声、静かに動き始めます。
しかし、ここからも売り子の本領発揮、やおらお客からお金を受け取り弁当を小走りに走りながら渡すのでした。
Photo
当時は、本当にゆっくりと動いていましたからそんな芸当も可能だったのです。
さて、佐倉機関助士が乗る機関車の中では、列車が動き始めると大田助士は浜田機関士のちょうど後ろに立ち、後方の客車がホームから離れていく様子をじっと凝視しています。
2
浜田機関士は、レギュレーター(車で言うところのアクセル)を手前に引っ張りながらピストンに送られる蒸気を徐々に増やしていっています。
その姿勢はまさに鬼の形相と言ったくらい怖い顔で睨みつけているようにも見えます。
そんな折、大田機関助士もじっと後方を睨んだまま最後尾の車両がホームを離れるまで見つめています。
やがて、客車もホームを離れると大田助士は焚口の定位置に戻ってきます。
佐倉君も取りあえず立ち上がるのですが・・・。
そんなおり、大田助士が浜田機関士に、
「後方確認ヨシ」
浜田機関士もちらと振り返り、
「後方確認ヨシ」
と復唱します。
その後、浜田機関士が第三閉塞まで上げてそれ以降は惰行で行くからと指示を出しています。
学園で習ったとはいえ、実際の閉塞の話などは初めての経験ですので正直戸惑うばかりです。
やがて、列車は駅構内を通過して本線に合流しました、あと10km程は停車しませんので機関車としてもしばらくはそのままです。
大田機関士はちらっと、缶圧力計を確認してから、佐倉君に
「石炭を投炭しますので、助士席に座っておいてください。」
そういうと、大田機関助士はスコップを片手にもって点だの石炭を掬うと、今度は体をひねったまま。機関車の焚口を開けて石炭を投入していきます。
何杯か投入してからテンダ付近に立つ大田助士をみて慌てて席を譲ろうとする佐倉君でした。
「佐倉さん、そこで座っておいてください。私は大丈夫ですから」
浜田機関士もそんな会話を聞きながら、
「佐倉、しばらく座っておけ、後でたっぷり鍛えてやるから。」
相変わらず前方を凝視したまま浜田機関士が話します。
やがて機関車は最高速度の95km/hまで上がってくるのですが、佐倉君はここで初めて機関士の運転がいかに厳しいかを思い知らされることになるのですが・・・このお話は次回させて頂くこととしましょう。
画像は「ある機関助士」からキャプチャーしました。

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