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2017年4月13日 (木)

機関助士 佐倉一郎の思い出話 第16話

皆さまこんばんは、また10日ほど空けてしまいました。
申し訳ございません、本日もしばしお付き合いください。

> やがて機関車は最高速度の95km/hまで上がってくるのですが、佐倉君はここで初めて機関士の運転がいかに厳しいかを思い知らされることになるのですが・・・このお話は次回させて頂くこととしましょう。

外から見ているとダイナミックな機関車ですが、実際の乗務は本当に大変だと思い知らされたのです、それは機関車の振動でした、客車に乗っていればほとんど感じない揺れですが機関車では下から突き上げるような振動が絶えず佐倉君を襲います。
立っていると思わずよろけそうになります。
そんな姿を見て浜田機関士が怒鳴ります、「そんなことで一人前のカマタキになれるか。
大田を見ろ。」

そう言われて、大田機関助士を見ると足が床と一体化したように激しい振動の中でもふらつくことなく石炭を投炭していきます。

佐倉君が乗務した機関車はC57形蒸気機関車と呼ばれる機関車で戦争を挟んで製造された機関車でその均整の取れたスタイルから貴婦人と鉄道ファンの間では呼ばれている機関車でした。
そう、JR西日本がSL山口号で使っている機関車です。
しかし、見た目のスマートさとは裏腹に良く揺れること・・・、

機関車がこんなに揺れるとは・・・そう思った佐倉君の気持ちを察したのか、大田助士が給炭の手を止めて佐倉君にの耳元で話しかけます。
「この機関車は、まだ揺れない方ですよ。」

そう言うと、テンダの石炭をすくって、釜の中に投入していきます。
大田助士が足でレバー踏むと、焚口戸が開き、熱風が容赦なく大田助士にかかります。

少し離れてみていた佐倉君は暢気に、やや、足を踏むと焚口戸が開くのだなぁと変に感心していたのですが、それがどれほど大変なことかまだ気づいていないのでした。
やがて機関車は最高速度を維持しながら、平坦な道のりですのでさほど給炭も要らないのでしょう、しばし休息ということで大田助士も機関助士席に座ります。

佐倉君も何とか機関車の振動になれてきたのか自分なりに体の重心をずらせながらバランスが取れるようになりました。
時間にして40分程度でしょうか、そろそろ次の停車駅が近づいてきたようです。
次に停車する駅はかなり大きな駅なのでたっぷり5分以上は停止しています、浜田機関士は時々時刻表と時計を睨めっこしながら時間を追っていきます。
先ほど通過した駅では定時通過しており、予定の停車駅には15秒ほど早着でした。

しばしの休息でもあります、大田機関助士が佐倉君に話しかけます。

「どうですか、機関車に乗ってみた感想は」

 「こんなに揺れるとは夢にも思いませんでした。」

苦笑しながら、大田機関助士は、「このC57形機関車はまだ揺れない方ですよ。」

佐倉君が目を丸くしていると、「C58形機関車はもっと揺れますよ、あれは85km/hまでですが、85㎞/hも出したら本当に大丈夫かなと思うくらい揺れますから・・・。」
20161122_13

「時々新米の機関助士が振動で飛び出してしまうそうです・・・・。」
真顔でいう大田助士の言葉に、びっくりする佐倉君を見て、浜田機関士が笑い出します。

「佐倉、大田の冗談を真に受けてどうする。」

ふと見ると、浜田機関士が白い歯を見せて笑っていました。

浜田機関士の笑顔に、佐倉君も少しだけ気持ちが軽くなったのです。

やがて出発時間が近くなり、駅のホームではベルが鳴り響きます、
大田助士は、今一度蒸気機関車の圧力計を確認しています、蒸気の圧力は13Kg/?を示しています。

浜田機関士が、大田助士と耳打ちしているようでした。
大田助士がうなづくと、浜田機関士が佐倉君に声を掛けます。

「佐倉、構内信号機を抜けて投炭する時に、大田に教えてもらってお前が投炭してみろ」

佐倉君にしてみれば、嬉しくて仕方ありません。
「ありがとうございます。」

やがてベルが鳴りやみ、信号機は進行を示しています。
駅長が手を挙げて出発の合図です。

浜田機関士は長声汽笛一発、少しづつ動き始めます。
後方を確認する大田機関助士、佐倉君も見よう見まねで後方を確認しています。

佐倉君いよいよ、初投炭を経験するのですがどうなるのでしょうか。
この辺は、また次回のお話とさせていただきましょう。
20161122_15

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