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2017年5月14日 (日)

機関助士 佐倉一郎の思い出話 第18話

すみません、また1週間ほど開けてしまいました。
今回も少しだけお付き合いくださいませ。

> 多少慣れたとはいえ。相変わらず上下に激しく機関車は揺れています。
> 以前に客車に乗ったときはこんなに揺れなかったのになぁと・・・そう思いつつも機関車乗務のさらに学園で習ったことが改めて大事だと改めて思うのでした。

場内進行、再び浜田機関士の声が響きます。すかさず、大田機関士も信号を確認して、場内進行と叫びます。

浜田機関士はやがておもむろにブレーキ弁を回して制動操作にかかります。
しかし、ブレーキ弁を掛けているのですが機関車は一向に停止する気配はありません。ホームはもうまじかに迫っています。

本当に停止できるのでしょうか。

機関車がホームにかかるかかからないかの寸前、ギギギーと言う感じで後ろの方から引っ張られるようにブレーキが効いていきます。
機関車の速度はどんどん下がって、ホームの1/3位のところではほぼ停止するのではないかと思えるゆっくりした速度となってきました。

気の早い人はホームに飛び降りています。
時々、飛び降りたはいいがよろけてしまう人もいるのですが、誰もそれを咎めたりしません。

浜田機関士は単弁と自動弁を巧みに使いながら機関車を停止させていきます。
最後は機関車本体の単弁だけを使ってブレーキを操作し停車させていきます。

プシュー・・・、軽いショックとともに、機関車は停止位置に停車します。

駅員が駅名を独特の調子で連呼します。
〇〇、〇〇、〇〇・・・〇〇線は乗換、・・・。

浜田機関士は大田機関士に耳打ちをします。

「わかりました」

短くうなずいた大田助士は、今度は佐倉君に声を掛けます。
「投炭もそうですが、機関車の車軸を確認しましょう。」

そういうが早いか、大田助士はホームに降りて動輪の中心部を手で触っています。

大田助士が佐倉君に話しかけます。
「機関車の動輪を手で触ってみてください。」

そう言われると、見よう見まねで佐倉君も触ってみます。
手で触れないほど熱いということはありませんが、それなりに熱は持っているようです。

佐倉君も、大田助士の後ろを追いかけるようにしながら見よう見まねで動輪・先輪を確認していきます。
Photo
ホーム側が終われば同様にして反対側もチェックしながら確認していきます。

やがて反対側も回ると、そのまま運転台に這い上がる大田助士と佐倉君でした。

浜田機関士に、
「異常ありません。」

大田助士は報告するのでした。

ホームではベルが鳴り響き列車が出発時間1分前であることを知らせています。
JRになってからはホームでベルを鳴らすことは無くなりましたが、国鉄時代は発車前にベルを鳴らすのが一般的でした。
やがてベルが鳴りやみ、駅長が信号を確認したのち出発を告げるべく手を大きく上に上げて、汽車は出発していくのです。
さて、そこで再び機関車の運転台の中に視線を移してみますと、佐倉君が大田助士の指導の元、給炭をしている最中でした。

両手でショベルを握り、体を捻りながら、前を向きます。
足踏みレバーで焚口戸を開けるのですが、熱い熱気が佐倉君を襲います。

すかさず、大田助士からも厳しい声が聞こえてきます。

「この程度でへこたれてはダメですよ。」

そう言われても、両手でもショベルで掬った石炭は半端なく重いのです。
適当にというと語弊がありますが、見よう見まねで何杯か投入したのでした。

汽車は出発時刻になり、駅長が信号を確認したのち笛を吹鳴して出発合図を送ります。
浜田機関士はチラッと圧力計を睨むと汽笛一声、ブレーキを全て緩め、レギュレーターを徐々に引き上げながら、シリンダーに蒸気を送り込んでいきます。

「シュツ・シュツ・・・」
蒸気を駅構内にまき散らしながら機関車は速度を上げていきます。
中学生でしょうか、ふざけて飛び降りてまた乗ろうとしています。

今では考えられない事ですが、昔は自動ドアなど無い時代でしたからそんなことも不可能では無かったのです。
もちろん、危険なことですから禁止されているのですけど。

さて、そんな事よりも佐倉君、本当に見よう見まねで投入したのですが、慣れないものの悲しさ、石炭は綺麗に満遍なくとはいかず、所々が山になってしまいました。

機関車も少し動き出した頃、浜田機関士が佐倉君に声を掛けます。

「どうだ、石炭を初めて投入したのは・・・。」

  「はい、緊張します。」
佐倉君は緊張しながら答えます。

「佐倉さん、これ見てください」

そう言って大田機関助士が話しかけます。
「所々、黒くなっているところが有るでしょう。あれは通風が悪くなっているんですよ。

そういうと、大田助士は、「黒くなっているところは山になっているんですよ」と言いながら少しづつ均していきます。
熱風は大田助士の顔をまともに吹き上げてきます。
横で見て居る佐倉君もいい加減熱く感じるのに、正面を向いている大田助士はもっと熱そうです。

それでも、黙々と火床の整理をするのでした。
改めて、機関助士の仕事の大変さを感じる佐倉君だったのです。

続く・・・のかよ。(^^♪

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