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2017年12月 5日 (火)

気動車区、向日京二君の思い出話 第3話

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しばらく間が空いてしまいましたが、再び投稿させていただきます。

今日は、向日君のお休みの日の話をさせていただこうと思います。

京二君は中学校を卒業すると迷わず国鉄に入ったのですが、当時は給料をもらうと家計を助けるというのが一般的でした。

京二君も給料を貰った次の公休日には、自分が使いたい僅かの小遣いを残して家族に渡すのでした。

休みの日に家までもっていくこともあれば、時には郵便局から現金書留で送ると言ったこともありました。

現金書留で送るときは、必ず母親が手紙を書いてくれるのでした。

それが京二君には嬉しくて、最近は家に帰らずにもっぱら書留郵便で送るのでした。

 

それまで、毎月家に帰ってきていた京二君が実家に戻らず、現金書留だけ送ってくるものだから今度はご両親が心配してしまうのでした。

 

今のように携帯電話等ありませんから、ちょっと心配になってきます。

妹は、お兄ちゃんが帰ってこないと心配するのでした。

 

さすがに、母親も気になってお父さんに相談するのでした。

「京二に何かあったのかね?」

 

 「むしろ、便りはないのは元気な証拠っていうじゃないか、元気にやっているのだろうよ。」

 「あんまり気になるのだったら、妹も心配しているから今度帰ってこいとでも手紙書いてやれ。」

 

父親はぶっきらぼうに答えます。

京二君の父親は、小学校しか出ておらず苦労して子供たちを育て上げた職人でした。

字を書くのも読むのも苦手なので。手紙を書く役はいつも母親だったのです。

 

「まぁ・・・」

 

母親は苦笑しながらも、便せんに手紙を書き始めるのでした。

 

京二、お母さんです。

いつも、お金送ってくれてありがとうよ。

お前が働いてくれるお陰で、とても助かっているよ。

でも、お前が働いたお金なんだから、好きなものを買ってもいいんだよ。

それとね、下の小学校2年生の妹が、兄ちゃんいつ帰ってくるの?って毎日云うんだよ。

お兄ちゃんは、お仕事で忙しいんだと言うんだけどね。

毎日、毎日、お兄ちゃんと遊ぶんだ・・・といってなかなか聞かなくてね。

京二も忙しいだろうけど、今度休みの日に帰っておいで。

京二の大好きな草餅沢山作っておくからね。

 

お父さんは相変わらず、無口だけど。

お前が国鉄に入ったことが嬉しくて仕方ないらしくて、俺の息子は国鉄で働いているのだ・・・と家で晩酌しながらいつも、いつも言っているのだ。

だからね、今度帰ってくるときは制服着て帰ってきてくれると父ちゃん喜ぶとから。

 

母より

 

母親は、早速書き上げると封筒に宛名を書き始めるのでした。

京都府向日市****

国鉄向日町気動車区内

     向日 京二様

 

そうして手紙を書き終えると、学校から帰ってきて宿題をしていた下の妹に声をかけます。

「お兄ちゃんに手紙出すから一緒に行くかえ?」

「お兄ちゃん?」

その言葉を聞いて、急いで母親の前にやって来る妹の幸子ちゃんでした。

 「なんだ、お兄ちゃん帰って来たんじゃないのか?」

「だから、今からお兄ちゃんに手紙出しに行くんだよ。」

母親がそういうと母親が持っている手紙をひったくるようにして、私が出して来る・・・と言って表に飛び出そうとします。

母親は苦笑しながら、「切手貼ってないから郵便局に行かなくちゃ。」

そう言われて少しだけばつが悪そうな幸子ちゃんです。

母親は、

「じゃぁ、行くよ」

と言って家を出ると幸子ちゃんの手を握りながら郵便局に向かって歩いていくのでした。

続きます。<(_ _)>

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