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2018年5月14日 (月)

気動車区、向日京二君の思い出話 最終話

>不満をあらわにする幸子ちゃんでしたが、実は京二君、お母さんと幸子ちゃんをびっくりさせようと、家に一足先に帰っていたのでした。

申し訳ございません。2ヶ月も空けてしまいました。
このまま終わらせるものも嫌なので、今回で最終回とさせていただこうと思います。

京二君は、いつもは現金書留で実家にお金を送っていたのですが、妹が寂しがっていると母親からの手紙に書いていたこともあり、非番の日にこっそり家に帰ってきたのでした。

「ただいま・・・」
そう言いながら、ドアを開けようとすると・・・鍵がかかっています。
「あれ、買い物にでも行ったのかな」
粗独り言を呟きながら、京二君は玄関の扉を開けるのでした。
入ってすぐの台所には母親の姿は無く、奥の部屋もシーンと静まったままでした。
「誰もいないのか・・・」
そう呟きながら、京二君は奥の部屋にどっかと座って、母親の帰りを待つことにしました。寮では無く、久々の実家です。
やはり落ち着けます、寝転がって天井を見るとも無く眺めていると次第に睡魔が襲ってくるのでした。
気がつけば、そのまますやすやと寝入ってしまいました。

まさか、京二君が家に帰っているとは知らないお母さんと幸子ちゃんは郵便局近くの商店街で買い物をしているのでした。
当時は大きなスーパーマーケット等無くて、殆どが地元の商店街で買い物をするのが一般的でした。
今日は、サンマが安いよ・・・、コロッケどうですか・・・威勢の良い声が道の両側から聞こえてきます。
幸子ちゃんはお母さんと買い物に来るのが大好きだったのでした。
 「お母さん、コロッケを買って欲しいの」
幸子ちゃんが早速お母さんにおねだりです。
「困った子だね、今日は買わないよ・・・」
そう言いながら、ふっと京二君のことが頭に浮かんだのでした。
そういえば、京二もコロッケが好きだったねぇ。
「仕方が無いねぇ、コロッケ6つくださいな」
母親はお店の大将に話しかけます。
 「コロッケ6つね、 毎度おおきに」
そう言ってにこやかに、店の大将は手際よく揚げたてのコロッケを包むのでした。
幸子ちゃんは、コロッケを買ってもらって大満足
まさか、京二君が帰ってきているなんて夢にも思っていませんから、一人で2個食べられると思ってもうわくわくです。
それを察したのか、母親が笑いながら。
「今日は一つ、明日も一つだからね」
幸子ちゃんは、少し不満そうに「はあーい」
少し不機嫌そうです。

さて、家では京二君が母親と妹の帰りを待っているとも知らず、家に帰ってみるとドアが開いているので、びっくり。
「鍵掛けたよね」・・・、お母さんは幸子ちゃんに尋ねます。
京子ちゃんも、「お母さん、鍵、掛けていたよ・・・」
でも、実際にはドアが開いている。
もしかしたら・・・。
二人は恐る恐る家に入ってみます。
玄関先には誰もいません、たださほど広くない部屋の奥の方から、寝息が聞こえてきます。泥棒?  ・・・お母さんはふと身構えます。
しかし、何も盗るものなんて無いのにね。
そう思いながら、片手にはほうきの柄をもって、奥に進んでいきます。
そこで母親が見たものは・・・、続く
なんて書いたら怒られそうですね。

京二君が寝息を立てて寝ているではありませんか。
なんだ、京二か・・・。
その声に目覚めた京二君、お母さんが座り込んで片手には箒をもって立っています。
目覚めた京二君、先輩が立っているのかと勘違いして、
 「ごめんなさい。つい寝てしまって」
大きな声で叫びます。
「あんた、いつ帰ってきたんだい」
母親が驚きつつも笑いながら話しかけます。
 「か、母ちゃん・・・?」
ばつが悪そうに、頭をかきながらにっこり微笑む京二君でした。
「お母さん、大丈夫・・・?」
玄関の方から幸子ちゃんの声がします。
「大丈夫だよ、それより・・・」
そう言いかけてわざと黙ってしまいました。

「お母さん、・・・」
そう言いながら少し不安そうに家に入っていくと、奥の部屋から懐かしいお兄ちゃんの声が聞こえてきます。
 「お兄ちゃん? 帰っているの」
幸子ちゃんが思わず叫びます。
その声を聞いて、京二君も
「幸子ちゃんか?」
思わず聞き返します。
「お手紙を書いたんで、お兄ちゃんが帰って来た」
幸子ちゃんは満面の笑みを浮かべながら話しかけます。
お母さんも苦笑しながら
「幸子がね、京二が帰ってこないからお手紙を出すんだっていって、さっきポストに入れたばかりだったのよ」
母親が笑いながら話します。
京二君もこの偶然にはびっくりしてしまいました。
笑いながら、今日は家に泊まっていくことを告げると、幸子ちゃんはもう大はしゃぎ。
京二君も改めて我が家は良いなぁ、と改めて思うのでした。
夕方には、幸子ちゃん以外の弟や妹も帰ってきて突然の兄貴の帰宅に大喜び
すぐ下の弟からは、職場のことを質問されます。
弟も国鉄を受けようとして学校の先生にお願いしているところだったのでした。

母親からは、何時もお金を送ってくれるので助かっているよと言われて少し恥ずかしい気分になった京二君でした。
それと、時々はうちに帰ってきておいで、弟たちが喜ぶからね。

そう言われて、改めて、月に一回くらいは家に帰ってこよう、それにもしかしたら自分の後輩になるかもしれない弟に仕事を教えてやろう。
そんな風に思う京二君だったのです。

終わり

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